【2026年最新版】主要メーカーの3Dレーザースキャナー5機種を徹底比較|TLS・SLAM式の違いと選び方

はじめに
建築・土木・インフラ・文化財など、3Dデジタル化の需要が急増する中で、「3Dレーザースキャナー」は現場の“見える化”を実現する不可欠なツールになりました。
しかし、導入を検討する際によく聞かれるのが次のような疑問です。
- 「TLSとSLAMの違いが分からない」
- 「どのメーカー・機種を選べばよいのか?」
- 「精度とコストのバランスを知りたい」
この記事では、国内で主に利用されている主要メーカー5社(Leica / Trimble / FARO / TOPCON / Matterport)の代表機種を比較し、それぞれの特徴・精度・用途の違いをわかりやすく解説します。
- INDEX
本ブログの想定読者
建築・建設分野
- 既存建物の図面作成(BIMモデル化、2D図面化)
- 工事現場の進捗管理・施工記録
- 耐震診断や劣化調査のための構造把握
プラント・工場分野
- 配管・設備レイアウトの正確な記録
- 改修工事やリニューアルのための現況把握
- メンテナンス計画や干渉チェック
土木・インフラ分野
- 道路・橋梁・トンネルなどの3Dモデル化
- 河川や堤防などの地形・断面測量
- 災害時の被災状況把握(崩落や変形の記録)
不動産・施設管理
- バーチャル内覧
- 賃貸・売買用の正確な面積算定
- 施設の資産管理
文化財・歴史建造物分野
- 文化財・寺社仏閣・史跡の3Dアーカイブ化
- 修復・保存作業の基礎データ取得
- VR/ARを用いた展示や観光活用
測量・地理空間情報
- 点群データによる高精度地形測量
- UAV(ドローン)との併用による広域スキャン
- GIS(地理情報システム)への統合
その他の応用
- 映像制作やゲーム用の3Dアセット生成
- 製品設計におけるリバースエンジニアリング
- 事故現場・犯罪現場の再現(警察・保険分野)
このブログでご紹介する3Dレーザースキャナーについて
紹介するスキャナーは、寸法精度としてミリメートル(mm)からセンチメートル(cm)レベルの測定を主な対象としています。
この精度帯は、広範囲にわたるインフラの現状把握や設計照合に最適であり、多くの現場で求められる標準的な要件を満たします。
なお、サブミリメートル以下のミクロン精度を要求される精密測定器については、本ブログの範囲外となりますので、別途、当社までご相談下さい。
3Dレーザースキャナーとは?
3Dレーザースキャナーとは、レーザー光を照射し、反射して戻るまでの時間から距離を測定することで、対象物の形状を「点群データ(Point Cloud)」として取得する装置です。
1秒間に数十万〜数百万点を測定でき、建物や構造物をミリ単位で再現します。
この点群データは、
- 図面化(2D/3D)
- BIMモデル作成
- 干渉チェック
- 工事記録
- インフラ維持管理
など、幅広い業務に活用可能です。
身近な例では、自動運転車のLiDARセンサーや掃除ロボットの障害物検知にも同様の技術が使われています。
3Dレーザースキャナーにはどんな種類があるか?
地上型3Dレーザースキャナー(TLS)とは
TLS(Terrestrial Laser Scanner)は、三脚などに固定して定点から周囲360°を高精度にスキャンする方式です。
レーザーの反射時間や位相差から距離を算出し、回転ミラーで全方向を計測します。
特徴
- 精度:ミリ単位
- 測定距離:数十〜数百メートル
- 設置型で安定したデータが取得可能
メリット
- 高精度で信頼性が高い
- 光や模様の影響を受けにくい
- 構造物や設備の詳細モデル化に最適
デメリット
- 定点設置のため、広範囲計測には時間がかかる
- 重量があり、屋外運搬に手間がかかる
主な用途
建築・プラント・トンネルなど構造物の精密計測やBIMモデル作成に最適。
SLAM式3Dレーザースキャナーとは
SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)は「自己位置推定と地図作成を同時に行う」技術。
機器を手に持ったり、背負ったり、ドローンに搭載して移動しながらスキャンできます。
特徴
- IMU(加速度センサー)と点群マッチングで位置を推定
- リアルタイムに広範囲を連続スキャン可能
- GPSが届かない屋内・地下でも使用可能
メリット
- スキャンが早い(数分で広範囲計測可能)
- 現場移動が自由で効率的
- 狭所・地下・災害現場にも対応
デメリット
- 定点スキャンよりも精度がやや劣る(数ミリ〜数センチ)
- 動きながらの取得なのでノイズが出やすい
主な用途
トンネル・地下街・森林・文化財・災害現場など、スピードと可搬性を重視するシーンに最適。
その他比較
TLS(地上型)とSLAM式(移動型)スキャナーの比較
|
項目 |
TLS |
SLAM |
|
設置方法 |
三脚などに固定して定点計測 |
手持ち・バックパック・車載・ドローン搭載など |
|
精度 |
高精度(ミリ単位) |
数ミリ〜数センチ |
|
測定範囲 |
数十〜数百m/定点ごとに合成 |
広範囲を連続スキャン |
| 計測時間 | 1スキャン数分〜十数分 | 移動しながらリアルタイム取得 |
|
データ処理 |
複数スキャン合成が必要 |
自動位置推定で合成不要 |
|
適用シーン |
構造物・工場・建物詳細モデル |
広域調査・地下・トンネル・屋外現場 |
ポイント TLS=精度重視型、SLAM=スピード重視型
現場の要件(精度 or 効率)によって選ぶのがポイントです。
写真計測(フォトグラメトリ)との違い
|
項目 |
フォトグラメトリ |
レーザースキャナー |
|
技術原理 |
写真の特徴点を三角測量で3D化 |
レーザー反射時間で距離を直接測定 |
|
精度 |
撮影条件に依存(誤差が出やすい) |
ミリ〜センチ単位で安定 |
|
コスト |
低コスト |
高価 |
|
得意分野 |
広範囲の地形・文化財・ビジュアル用途 | 構造物や屋内の高精度測定 |
| 出力データ | テクスチャ付きモデル |
高密度点群データ |
フォトグラメトリは見た目がリアルで軽量な3Dモデル作成に適し、レーザースキャナーは形状精度が重視される工事・測量現場向け。
両者を組み合わせるハイブリッド計測も増えています。
スマートフォンLiDARとの違い
|
項目 |
スマホLiDAR(iPhone/iPad Pro) |
TLS/SLAM式レーザースキャナー |
| 精度 |
数センチ単位 |
ミリ〜数センチ |
|
計測範囲 |
~数メートル |
数十〜数百メートル |
|
精度 |
数センチ単位 |
ミリ〜数センチ単位 |
| 用途 | 簡易スキャン、ARアプリ | BIM、工事記録、インフラ点検 |
|
コスト |
デバイス内蔵 |
数百万円〜 |
| 特徴 | 手軽・低コスト | 高精度・業務用 |
スマホLiDARは簡易計測やAR用途に便利ですが、業務レベルの精度には不向き。
TLSやSLAM式スキャナーは、現場記録・設計照合・資産管理など精密な業務に必須です。
3Dレーザースキャナーが活用される主な業界・用途
建築・建設
- 既存建物のBIMモデル化、施工管理
- 耐震診断や構造調査
- 工事記録・出来形管理
プラント・工場
- 配管・設備レイアウトの現況記録
- 改修・増設時の干渉チェック
- 保守・点検データのデジタル化
土木・インフラ
- トンネル、橋梁、堤防などの3Dモデル化
- 河川・地形の断面測量
- 災害時の変位・崩落調査
文化財・施設管理
- 史跡・寺社の3Dアーカイブ
- 修復・保存作業の基礎資料化
- VR/AR展示への活用
測量・地理空間情報
- UAVとの併用で広域測量
- GISデータへの統合・地形モデリング
【主要メーカー比較】3Dレーザースキャナー5機種
ここでは、国内で高いシェアを持つ代表的5社の特徴をまとめます。
※数値は代表的モデルの一般的傾向を示しています。
|
メーカー |
代表機種 |
精度 |
測定距離 |
特徴 |
|
Leica Geosystems |
BLK360 G2 |
約±4mm |
最大130m |
高速スキャン、軽量、BIM連携が強い |
|
Trimble |
X9 / X12 |
約±2mm |
約250m |
防塵防滴性能が高く屋外現場向き、Trimble FieldLink連携 |
|
FARO |
Focus Premium |
約±2mm |
最大400m |
定点式・高精度の業界標準機 |
|
FARO |
Orbis Premium |
約±2mm |
最大40m |
測量・マッピングに最適。移動型+定点兼用 |
|
Matterport |
Pro3 |
約±20mm |
最大100m |
比較的安価・操作簡単。閲覧や編集がブラウザで完結 |
TLSとSLAM、どちらを選ぶべきか?
|
現場条件 |
おすすめ方式 |
|
高精度を求める屋内計測・BIM化 |
TLS |
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広範囲・スピード重視の現場(トンネル・森林など) |
SLAM |
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狭所・複雑構造(プラント・配管など) |
TLS+SLAM併用 |
|
コストを抑えたい場合 |
FARO・BLK360など小型機種 |
導入前に、「どの精度が必要か」「屋内外どちらか」「データ処理環境があるか」を整理すると選定がスムーズです。
まとめ|用途に応じた3Dスキャナー選定を
3Dレーザースキャナーは、建築・土木から文化財保存まで幅広く活躍する“現場のデジタル化ツール”です。
- TLS式:高精度・定点型(構造物や工場に最適)
- SLAM式:高速・広範囲型(トンネルや現場測量に最適)
主要5メーカーはいずれも高性能ですが、「精度」「測定範囲」「データ処理」「コスト」の4軸で比較すると自社に最適な機種を選べます。





