Column
2026.02.27

【2026年最新版】主要メーカーの3Dレーザースキャナー5機種を徹底比較|TLS・SLAM式の違いと選び方

比較

はじめに

 

建築・土木・インフラ・文化財など、3Dデジタル化の需要が急増する中で、「3Dレーザースキャナー」は現場の“見える化”を実現する不可欠なツールになりました。 

 

しかし、導入を検討する際によく聞かれるのが次のような疑問です。 

  • 「TLSとSLAMの違いが分からない」 
  • 「どのメーカー・機種を選べばよいのか?」 
  • 「精度とコストのバランスを知りたい」 

 

この記事では、国内で主に利用されている主要メーカー5社(Leica / Trimble / FARO / TOPCON / Matterport)の代表機種を比較し、それぞれの特徴・精度・用途の違いをわかりやすく解説します。 

INDEX

本ブログの想定読者

建築・建設分野

  • 既存建物の図面作成(BIMモデル化、2D図面化)
  • 工事現場の進捗管理・施工記録
  • 耐震診断や劣化調査のための構造把握

 

プラント・工場分野

  • 配管・設備レイアウトの正確な記録
  • 改修工事やリニューアルのための現況把握
  • メンテナンス計画や干渉チェック

 

土木・インフラ分野

  • 道路・橋梁・トンネルなどの3Dモデル化
  • 河川や堤防などの地形・断面測量
  • 災害時の被災状況把握(崩落や変形の記録)

 

不動産・施設管理

  • バーチャル内覧
  • 賃貸・売買用の正確な面積算定
  • 施設の資産管理

 

文化財・歴史建造物分野

  • 文化財・寺社仏閣・史跡の3Dアーカイブ化
  • 修復・保存作業の基礎データ取得
  • VR/ARを用いた展示や観光活用

 

測量・地理空間情報

  • 点群データによる高精度地形測量
  • UAV(ドローン)との併用による広域スキャン
  • GIS(地理情報システム)への統合

 

その他の応用

  • 映像制作やゲーム用の3Dアセット生成
  • 製品設計におけるリバースエンジニアリング
  • 事故現場・犯罪現場の再現(警察・保険分野)

このブログでご紹介する3Dレーザースキャナーについて

紹介するスキャナーは、寸法精度としてミリメートル(mm)からセンチメートル(cm)レベルの測定を主な対象としています。
この精度帯は、広範囲にわたるインフラの現状把握や設計照合に最適であり、多くの現場で求められる標準的な要件を満たします。
なお、サブミリメートル以下のミクロン精度を要求される精密測定器については、本ブログの範囲外となりますので、別途、当社までご相談下さい。

3Dレーザースキャナーとは?

3Dレーザースキャナーとは、レーザー光を照射し、反射して戻るまでの時間から距離を測定することで、対象物の形状を「点群データ(Point Cloud)」として取得する装置です。 
1秒間に数十万〜数百万点を測定でき、建物や構造物をミリ単位で再現します。 

この点群データは、 

  • 図面化(2D/3D) 
  • BIMモデル作成 
  • 干渉チェック 
  • 工事記録 
  • インフラ維持管理 

など、幅広い業務に活用可能です。 

 

身近な例では、自動運転車のLiDARセンサーや掃除ロボットの障害物検知にも同様の技術が使われています。 

3Dレーザースキャナーにはどんな種類があるか?

地上型3Dレーザースキャナー(TLS)とは

TLS(Terrestrial Laser Scanner)は、三脚などに固定して定点から周囲360°を高精度にスキャンする方式です。

レーザーの反射時間や位相差から距離を算出し、回転ミラーで全方向を計測します。 

特徴 

  • 精度:ミリ単位 
  • 測定距離:数十〜数百メートル 
  • 設置型で安定したデータが取得可能 

 

メリット 

  • 高精度で信頼性が高い 
  • 光や模様の影響を受けにくい 
  • 構造物や設備の詳細モデル化に最適 

 

デメリット 

  • 定点設置のため、広範囲計測には時間がかかる 
  • 重量があり、屋外運搬に手間がかかる 

 

主な用途 

建築・プラント・トンネルなど構造物の精密計測やBIMモデル作成に最適。

 

 

SLAM式3Dレーザースキャナーとは

SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)は「自己位置推定と地図作成を同時に行う」技術。

機器を手に持ったり、背負ったり、ドローンに搭載して移動しながらスキャンできます。 

特徴 

  • IMU(加速度センサー)と点群マッチングで位置を推定 
  • リアルタイムに広範囲を連続スキャン可能 
  • GPSが届かない屋内・地下でも使用可能 

 

メリット 

  • スキャンが早い(数分で広範囲計測可能) 
  • 現場移動が自由で効率的 
  • 狭所・地下・災害現場にも対応 

 

デメリット 

  • 定点スキャンよりも精度がやや劣る(数ミリ〜数センチ) 
  • 動きながらの取得なのでノイズが出やすい 

 

主な用途 

トンネル・地下街・森林・文化財・災害現場など、スピードと可搬性を重視するシーンに最適。 

その他比較

TLS(地上型)とSLAM式(移動型)スキャナーの比較

 

項目

TLS
(Terrestrial Laser Scanning)

SLAM
(Simultaneous Localization and Mapping)

設置方法

三脚などに固定して定点計測

手持ち・バックパック・車載・ドローン搭載など 

精度

高精度(ミリ単位) 

数ミリ〜数センチ 

測定範囲

数十〜数百m/定点ごとに合成

広範囲を連続スキャン

計測時間 1スキャン数分〜十数分 移動しながらリアルタイム取得 

データ処理 

複数スキャン合成が必要

自動位置推定で合成不要 

適用シーン

構造物・工場・建物詳細モデル 

広域調査・地下・トンネル・屋外現場

ポイント TLS=精度重視型、SLAM=スピード重視型 

現場の要件(精度 or 効率)によって選ぶのがポイントです。 

 

写真計測(フォトグラメトリ)との違い

 

項目

フォトグラメトリ

レーザースキャナー

技術原理

写真の特徴点を三角測量で3D化

レーザー反射時間で距離を直接測定 

精度

撮影条件に依存(誤差が出やすい)

ミリ〜センチ単位で安定

コスト

低コスト

高価

得意分野

広範囲の地形・文化財・ビジュアル用途 構造物や屋内の高精度測定 
出力データ テクスチャ付きモデル 

高密度点群データ

フォトグラメトリは見た目がリアルで軽量な3Dモデル作成に適し、レーザースキャナーは形状精度が重視される工事・測量現場向け 

両者を組み合わせるハイブリッド計測も増えています。 

 

スマートフォンLiDARとの違い

 

項目

スマホLiDAR(iPhone/iPad Pro)

TLS/SLAM式レーザースキャナー

精度

数センチ単位

ミリ〜数センチ

計測範囲

~数メートル

数十〜数百メートル

精度

数センチ単位

ミリ〜数センチ単位

用途 簡易スキャン、ARアプリ BIM、工事記録、インフラ点検

コスト

デバイス内蔵

数百万円〜

特徴 手軽・低コスト 高精度・業務用

スマホLiDARは簡易計測やAR用途に便利ですが、業務レベルの精度には不向き。 

TLSやSLAM式スキャナーは、現場記録・設計照合・資産管理など精密な業務に必須です。 

3Dレーザースキャナーが活用される主な業界・用途

建築・建設 

  • 既存建物のBIMモデル化、施工管理 
  • 耐震診断や構造調査 
  • 工事記録・出来形管理 

 

プラント・工場 

  • 配管・設備レイアウトの現況記録 
  • 改修・増設時の干渉チェック 
  • 保守・点検データのデジタル化 

 

土木・インフラ 

  • トンネル、橋梁、堤防などの3Dモデル化 
  • 河川・地形の断面測量 
  • 災害時の変位・崩落調査 

 

文化財・施設管理 

  • 史跡・寺社の3Dアーカイブ 
  • 修復・保存作業の基礎資料化 
  • VR/AR展示への活用 

 

測量・地理空間情報 

  • UAVとの併用で広域測量 
  • GISデータへの統合・地形モデリング 

【主要メーカー比較】3Dレーザースキャナー5機種

ここでは、国内で高いシェアを持つ代表的5社の特徴をまとめます。 
※数値は代表的モデルの一般的傾向を示しています。 

メーカー 

代表機種 

精度 

測定距離 

特徴 

Leica Geosystems

BLK360 G2 

約±4mm 

最大130m 

高速スキャン、軽量、BIM連携が強い 

Trimble 

X9 / X12

約±2mm 

約250m 

防塵防滴性能が高く屋外現場向き、Trimble FieldLink連携 

FARO 

Focus Premium 

約±2mm 

最大400m 

定点式・高精度の業界標準機

FARO

Orbis Premium

約±2mm 

最大40m 

測量・マッピングに最適。移動型+定点兼用

Matterport

Pro3

約±20mm

最大100m

比較的安価・操作簡単。閲覧や編集がブラウザで完結

 

TLSとSLAM、どちらを選ぶべきか?

現場条件 

おすすめ方式 

高精度を求める屋内計測・BIM化 

TLS 

広範囲・スピード重視の現場(トンネル・森林など) 

SLAM 

狭所・複雑構造(プラント・配管など) 

TLS+SLAM併用 

コストを抑えたい場合 

FARO・BLK360など小型機種 

導入前に、「どの精度が必要か」「屋内外どちらか」「データ処理環境があるか」を整理すると選定がスムーズです。 

 

まとめ|用途に応じた3Dスキャナー選定を

3Dレーザースキャナーは、建築・土木から文化財保存まで幅広く活躍する“現場のデジタル化ツール”です。 

 

  • TLS式:高精度・定点型(構造物や工場に最適) 
  • SLAM式:高速・広範囲型(トンネルや現場測量に最適) 

 

主要5メーカーはいずれも高性能ですが、「精度」「測定範囲」「データ処理」「コスト」の4軸で比較すると自社に最適な機種を選べます。