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2024.02.05

3D測量とは?メリットやおすすめ機器・手順まで解説

機能紹介

3D測量(3次元測量)とは、センサーやレーザーを搭載した機器で物体や空間を瞬時に測量する方法です。
測量業務を効率化し、品質を向上させたいと思っている担当者の方にとっては、革新的な技術でしょう。
ただし、導入にはデメリットもあり、また測量機器のタイプもさまざまであるため、事前の情報収集は非常に重要です。
本記事では、3D測量の概要やメリット・デメリット、おすすめの機器、測量の手順まで詳しく解説します。
ぜひ本記事を、業務改善や測量に関する最新情報のアップデートにお役立ていただけますと幸いです。

INDEX

3D測量(3次元測量)とは

3D測量(3次元測量)とは、物体や空間の三次元的な形状や位置を、機器で計測する測量方法です。

通常、光学センサーやレーザーなどを使用して、対象物の表面から点群データを取得します。
そして、そのデータをコンピュータで処理して3Dモデル(3次元モデル)を生成します。

建設プロジェクトの進捗管理やデジタルツインの構築、医療画像の解析などにも活用されています。

物理的な対象をデジタル化することで、測量の正確性を向上し、作業を効率化できる革新的な測量手法として注目を集めています。

3D測量のメリット

3D測量のメリットは次の3つです。

 

・測量の精度を高められる
・作業を効率化できる
・作業環境の安全性を向上できる

 

一つずつ解説していきます。

測量の精度を高められる

3D測量は、高度な光学センサーやレーザーテクノロジーを駆使して対象物や地形を非常に細かいデータポイントまで計測可能です。

そのため、測量の精度を飛躍的に向上させます。

従来の手法では難しかった微細な特徴や複雑な形状も捉えられるため、設計や製造プロセスにおいて高い品質管理が実現します。

この精度向上は、建築物の正確な寸法取得や地理情報システムの精密な地図作成など、さまざまな分野で重要な役割を果たします。

作業を効率化できる

3D測量によって、従来よりも効率的かつ迅速に作業できるようになります。

自動化されたデータ収集プロセスを採用しているため、作業の工数を大幅にカットできます。

そのため、大規模なエリアや複雑な構造物でも短時間で豊富なデータを取得できるようになるのです。

また、リモートセンシングやドローン技術の導入により、人がアクセスしにくい場所でも効率的な調査が可能です。

作業スケジュールの短縮やコスト削減に寄与する革新的なアイテムになるでしょう。

作業環境の安全性を向上できる

遠隔地や危険な環境でのデータ収集を機器に任せることで、作業環境の安全性を向上させます。

建設現場や災害現場などでの使用において、人が危険な場所に立ち入らずに必要な情報を取得できます。

労働者の安全確保が強化されることで、建設業界全体の労働環境の改善にもつながるでしょう。

3D測量のデメリット

3D測量には、メリットがある一方で下記のようなデメリットもあります。

 

・導入コストが発生する
・データ処理や分析には専門的な知識が必要になる

 

導入後に後悔しないよう、事前に把握しておきましょう。

導入コストが発生する

3D測量技術の導入には、一定の初期投資が必要です。

高度な測定機器やソフトウェアの購入、メンテナンス、トレーニングなどの費用が発生します。

特に最新のレーザーセンサーや高解像度の光学機器は価格が高く、これに伴う機器の運用環境整備もコストがかさむことがあります。

中小企業や新興企業にとっては、これらのコストが負担となり、導入をためらう要因となり得ます。

長期目線で投資費用を回収できそうかどうか、よく検討しましょう。

データ処理や分析には専門的な知識が必要になる

3D測量は膨大なデータを生成し、そのデータ処理や解析には高度な専門知識が必要になる場合もあります。

データのクリーニング、モデリング、解釈においては、統計学や地理情報システム(GIS)に関する深い理解が求められます。

またデータをBIMやCADに変換した場合、それらのデータを扱える人材が必要となるでしょう。

事前に、3D測量やデータ分析・解析に詳しい人材を確保しておくことをおすすめします。

人材の確保が難しい場合は、外部のトレーニングや専門家を利用してみても良いでしょう。

3D測量におすすめの機器

3D測量におすすめの機器は次の4つです。

 

・3Dレーザースキャナー
・ドローン(UAV)
・MMS(モービルマッピングシステム)
・スマートフォン

 

測量場所や活用目的に応じて、最適な機器を探してみてください。

3Dレーザースキャナー

3Dレーザースキャナーは、高い精度で三次元データを収集するために設計された優れた機器です。

レーザービームを対象物に照射し、その反射パターンを計測することで、非常に詳細で精密なポイントクラウドデータを生成します。

測量だけでなく、建築物や文化財の保存、製造業の品質管理、土木工学プロジェクトなど、広範な活用シーンがあるのも特徴的です。

ドローン(UAV)

ドローンは、空中から広範なエリアを効率的にカバーできるため、測量機器の中でも高い空撮解像度を提供します。

ドローンはオートパイロット機能をはじめ、さまざまなセンサーやカメラを搭載しています。

建設現場の進捗監視、地形モデリング、災害調査などで幅広く利用されています。

MMS(モービルマッピングシステム)

モービルマッピングシステム(MMS)とは、移動車両に搭載されたセンサーやカメラを使用して測量する機器です。

道路や鉄道、都市の街路などを高速で3Dマッピングするためのシステムとして主に活用されます。

MMSはリアルタイムでデータを収集し、大規模な地域を迅速かつ精密にマッピングできます。

交通計画、都市計画、インフラ管理などにおいて効果的です。

スマートフォン

スマートフォンは、内蔵されたセンサーやカメラを活用して、小規模な3D測量プロジェクトにおいて手軽に利用できます。

特にアプリケーションにより、建物の寸法測定や室内マッピング、AR(拡張現実)体験のための3Dスキャンなどに活用されます。

コスト効果が高く、即座に利用可能なため、簡易な測定やプロトタイプの作成に向いています。

ただし、道路や都市、建設現場のように大規模なエリアのスキャンには向いていないため注意しましょう。

3D測量の活用事例3選

3D測量を実際に活用している事例を3つご紹介します。

ダムの測量
民家の有効敷地面積を計測
路線の測量

ぜひ事例を参考に、貴社での活用をイメージしてみてください。

1.ダムの測量

株式会社コイシ様では、貯水池表面遮水工事にあたり稲葉ダムを3Dレーザースキャナで測量しています。

また測量後には、取得した設計図から3Dモデルを構築し、形状や寸法について発注図と照査しています。

通常、測量には約40日かかっていましたが、3D測量では約25日で終了しており、大幅な効率化に成功しています。

ダムのように複雑な形状をしている物体でも詳細なデータを安全に取得できているのも美点でしょう。

 

参考:https://koishi.co.jp/archive/3d-data.html

2.民家の有効敷地面積を計測

株式会社ニコン・トリンブル様の測量事例として下記のようなものがあります。

住宅メーカーが、民家の埋め立てを計画するにあたり、必要な土量と増加する有効敷地面積を計測するため民家を3D測量したといいます。

測量に使用しているのは3Dレーザースキャナーです。

約4時間で、4000万ポイントをスキャンしています。

取得した点群データをメッシュデータに変換することで、有効敷地面積の増加量が一瞬で明確になっています。

3D測量を活用したことで、いつでもデータにアクセスできることに利便性を感じられていたと言います。

また、お客様へ共有するデータのビジュアル化に成功したこともメリットとして挙げられていました。

3Dモデルや点群データの資料があることで、エンドユーザーやクライアント様とのコミュニケーションが迅速化し、またミスマッチも減らせるようになります。

 

参考:https://www.g-chousashi.or.jp/pdf/member/20230303

3.路線の測量

国土交通省の事例では、特定の路線を3D測量したといいます。

使用したツールは、MMS。

通常時はTSで測量しており、25日かかっていましたが、3D測量を実行した結果、測量日数は3日まで短縮しています。

また点群で管理することにより、成果の品質が向上したことも美点として挙げられています。

 

参考:https://www.mlit.go.jp/common/001186310.pdf

3D測量の手順

3D測量の手順は次の通りです。

 

プロジェクトの計画を策定
セットアップした機器で測量を開始
データから必要情報を抽出
目的に応じて活用

 

ぜひ活用をイメージしながら読み進めてみてください。

1.プロジェクトの計画を策定

プロジェクトの計画は、成功の基盤となります。

最初にプロジェクトの目的や範囲を明確に定義し、必要な機器やソフトウェアの選定、測量エリアの確定を行います。

また、プロジェクトのスケジュール、予算、安全対策なども考慮し、計画を練り上げます。
はじめに、綿密な計画を立てることで、測量作業全体が効率的で効果的に進行します。

2.セットアップした機器で測量を開始

ドローンやレーザースキャナー、MMSなど、使用する機器に応じて作業を進めます。

機器の配置や動作確認、必要に応じて基準点の設定などを行い、データ収集のための準備を整えます。

準備ができたら、測量を開始しましょう。

3.データから必要情報を抽出

測量が完了したら、収集されたデータを処理して必要な情報を抽出します。

点群データの処理や地形モデリング、画像データの解析など、データ処理の段階では専門的なスキルが求められます。

データ解析や分析に詳しい人材がいない場合は、分析ツールやシステムを利用するのも良いでしょう。

4.目的に応じて活用

抽出された情報は、プロジェクトの目的に応じて多岐に活用されます。

設計データの精度向上や進捗管理、また地形のモデリングや施工計画の最適化など、さまざまな分野で利用されます。

進捗管理プラットフォームやコミュニケーションツールなど、情報・データを共有しやすいツールやアプリを社内で検討してみてください。

3D測量で業務効率化と品質向上を実現しよう!

3D測量は、高度な技術と機器を用いて、物体や空間の3次元的な情報を計測できる革新的な測量手法です。

3D測量のメリットは、次の3点でした。

 

・測量の精度を高められる
・作業を効率化できる
・作業環境の安全性を向上できる

 

一方、上記の利点を得るには、初期費用の投資や
データ処理に関する専門知識を要する場合があるということは社内で共有しておきましょう。

弊社は、Matterport(マーターポート)の正規代理店です。
3D測量やMatterportに関するご不明点やご要望はぜひお気軽にお問い合わせください。