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2024.02.05

【わかりやすく解説】Scan to BIMとは?3つのメリットと活用事例

活用事例

Scan to BIMは、3Dレーザースキャナーがもたらす革新的なデジタル技術です。

現場の測量作業にかかる手間や正確なデータの取得、設計段階でのリスク管理に関する懸念は
建設設計者や関連業界の皆様にとって共通の課題ではないでしょうか。

現場のスキャンからモデリング、BIMによる正確なデジタルツインの構築まで、建築設計プロセス全体を劇的に変える可能性を秘めています。

本記事では、Scan to BIMとはどんなサービスなのかを解説していきます。
導入メリットや活用事例、利用の手順まで詳しく解説していきますのでぜひ参考にしてみてください。

建設業界の皆様にとって、本記事が効率的かつ創造的なプロジェクトを手掛ける一助となれば幸いです。

INDEX

Scan to BIMとは?

Scan to BIM(スキャントゥビム)は、現場調査からBIMモデリングまでのプロセスをデジタルテクノロジーで効率化する技術です。

BIMモデル化までの具体的な手順として、まず建築物や施設を360度カメラで3Dスキャンしてリアルな空間のデータを取り込みます。

その後、取得したスキャンデータを点群データ→BIM(Building Information Modeling)の順に変換します。
Scan to BIMを利用することで、建築家や設計者は正確かつ迅速なプロジェクト進行が可能になるでしょう。

Scan to BIMを利用することで、設計プロセスを改善し、競争力の向上が期待されます。

Scan to BIMの導入メリット3つ

Scan to BIMを導入するメリットには、次の3つが挙げられます。

 

・現地調査からモデリングまでの作業を効率化
・データの正確性や品質を向上
・プロジェクトのリスクを軽減

 

自社にどんな効果があるのか、一つずつ見ていきましょう。

現地調査からモデリングまでの作業を効率化

Scan to BIMの導入により、建築プロジェクトにおける現地調査からモデリングまでの作業が格段に効率化されます。
従来の手作業では手間がかかっていた現地測量作業が最小限に抑えられ、設計者は迅速に正確なデジタルモデルを作成できます。これにより、プロジェクトの初期段階からの作業時間短縮が実現され、全体のスケジュールが改善されます。

データの正確性や品質を向上

Scan to BIMはMatterportなどの高度な3Dスキャン技術を用いて建物の実在データを収集した後、それをScan to BIMにて正確な3Dモデルに変換します。
このプロセスにより、建物の正確な形状や寸法が反映され、設計者は信頼性の高いデータを獲得できます。
設計や施工において生じる誤差が大幅に削減され、プロジェクトの品質を向上させられるでしょう。

プロジェクトのリスクを軽減

プロジェクトの計画段階からリスクの早期発見が可能になるため、リスク軽減にも役立ちます。
正確なデジタルモデルにより、施工中や完成後における潜在的な問題や衝突を事前に予測できます。
手軽なシミュレーションを実現することで、予期せぬ問題を未然に防ぎ、施工をスムーズかつ安全に進められるようになるでしょう。

野原グループの「Scan to BIM」

野原グループ株式会社(旧:野原ホールディングス株式会社)は、2023年9月より「Scan to BIM」サービスの提供を開始いたしました。

当社は、BuildApp※で建設DXに取り組んでおり、さまざまなDXサービスを展開する企業です。
そんな当社が提供できる「Scan to BIM」サービスの概要をご説明いたします。

 

※野原グループ(株)が提供する、施工支援プラットフォームのこと

Scan to BIMサービスとは

「Scan to BIM」とは、VR撮影・3D測量によって自動生成される点群データからBIMのモデリング化を支援するサービスです。VR撮影・3D測量には、Matterportシリーズのカメラを使用し、点群データの生成もMatterportのシステム上で行います。

当社サービスの強みの一つに「スピード納品」が挙げられます。
現場の撮影から点群データの取得まで、最短1日で完了いたしますので、スピード感を持ってプロジェクトを進めたい企業様にも最適です。

また「維持管理プロセスの変革支援」も併せ持ちます。
既存建物をBIMモデル化した後、改修工事における現場調査、図面作成のサポートも可能です。

 

サービスの詳細を見てみる

提供背景

今回サービス提供に至った背景の一つに「既存構造物の改修工事における難点の克服」があります。
従来、図面のない現場を把握する際、実測や図面作成において下記のようなお悩みをお持ちの企業様が多くいらっしゃいました。

 

・現調に複数人が必要な場合が多い(設計担当が2名体制で実測し、営業が写真を撮る、など)
・写真の撮り漏れや計測漏れによる現場再訪問の頻発
・現況把握、図面完成までにはかなりの時間とマンパワーが必要

 

これらのお悩みを解決しつつ、2024年4月に迫った建設業における時間外労働の上限規制の適用への準備も進める必要があると考えております。

Scan to BIMの活用事例

当社が「Scan to BIM」を提供するきっかけともなりました、東急コミュニティー様との活用事例をご紹介いたします。

株式会社東急コミュニティー(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:木村 昌平氏)が施工するオフィスビル改修工事において「Scan to BIIM」(3D測量による点群データからのBIMモデル化)を採用いただき、改修工事に必要な2D図面作成を効率化しました。

3D測量は、延床面積2,500㎡ほどの建物で、屋外と外構のスキャンを行いました。
所要時間は約7時間。

また変換したBIMモデルから、複数の2D図面を生成し改修工事に活用しました。

東急コミュニティーのご担当者様からは下記のようなご感想をいただきました。

 

・2DCAD図面は、若干修正が必要なものの、(改修工事に利用するには)十分な品質である
・点群データからBIMモデル・図面への変換スピードが想像より早かった

 

今後も、デジタルツイン(3D/VR空間モデル)活用とBIM普及による業務効率化に注力してまいります。

本事例の詳細は下記からも詳しくご覧いただけます。

 

詳細はこちらから

Scan to BIMの利用手順

当社のScan to BIMを利用する際の利用手順を4ステップで解説いたします。

 

1.3Dレーザースキャナー(Matterport)で現場をスキャン
2.3Dモデルを自動生成
3.点群データを書き出し
4.BIMをモデリング

 

一つずつみていきましょう。

1.3Dレーザースキャナー(Matterport)で現場をスキャン

Scan to BIMの最初のステップでは、専用の3Dレーザースキャナー(Matterport)を使用して、建築物や施設を現地でスキャンします。
Matterportは高精度かつ迅速に、リアルな空間のデータを取得します。
スキャンは1人でも可能で、特別な専門知識も不要です。
現場を360度スキャンかつ、平面図に作図をしていくように撮影を進めるため、撮影漏れを防げます。

2.3Dモデルを自動生成

取得したスキャンデータは、Matterport専用のクラウドにアップロードすることで、自動的に3Dモデルが生成されます。
このプロセスにより、建物の外観や内部構造を簡便かつ迅速にデジタル化することが可能です。

3.点群データを書き出し

Matterportのアドオンを利用し、スキャンデータから点群データを抽出します。
点群データは立体物の表面上に配置された、数々の点の集まりのことです。これにより建物の内部や微細な特徴が詳細に捉えられます。
このステップまで、最短1〜2日で完了できます。

4.BIMをモデリング

最終ステップで、点群データをBIMに変換します。
BIMモデルの調整は、Revitなどのソフト上で行います。

Scan to BIMで業務を最速化しよう!

Scan to BIMは、建築設計プロセスに革新をもたらす技術です。
BIMモデル化までの手順は次の通りです。

 

・現場を3Dスキャン
・3Dモデルを自動生成
・点群データを抽出
・点群データをもとにBIMをモデリング

 

Scan to BIMの導入により、測量の手間を削減し、正確性の向上、リスクの軽減など多岐にわたるメリットが得られるでしょう。
Scan to BIMに関するご相談や、DXに関するお悩みなど、ぜひお気軽にご相談ください。