建設現場に 「なくてはならない」存在に
Matterportで加速する BIM活用

美保テクノス株式会社
建築本部 BIM戦略部 主任
寺本弘志さん
建設業界
土木建築に関する工事の施工及び測量・企画
調査設計・監理並びにコンサルタント業務
従業員数 200名(2023年3月22日現在)
動機

建設現場のボトルネックを解消
BIM+Matterportでの建設DX

当社は、山陰地方を中心に活動する総合建設会社です。Autodesk Revitが日本に上陸した直後の2004年からBIMに取り組み、改修工事における現況の撮影や測量・寸法の測定、点群データをBIMへ利用する目的でMatterportを導入しました。改修工事の図面が十分にデータ化されていなかったり、現況と異なっていたりするという場合は多々あり、改めて測量する必要があるわけですが、その際のボトルネックとなっていたのが従業員の移動や工数といったコストです。人手で測量するときはレーザーで水平を測り、そこからスケールを使って計測していましたので個人誤差も少なくありません。測量のやり漏れ箇所に後で気づいた場合は現場を再訪して再測量するケースもありました。

これらを改善する抜本的な業務改革の手段として着目したのがMatterportです。

Matterportは空間全体をスキャン、点群データを取得して3D化しますので測り漏れが発生しません。人手では測量が難しい高さの測定も難なくこなします。精度には問題なく、個人誤差も生じなくなるなど、多くのメリットがあります。平面図だけでは伝わりにくい情報を可視化し、顧客にわかりやすい情報を提供したいという思いがMatterport導入のきっかけです。

活用

1日掛かりの測量が2時間で完了
撮り漏れもなく、
コスト削減にもなる

ある旅館の改築工事をする際、構造図は残っていましたが、意匠図がなかったため、点群データを元にして、BIMを作成することにしました。対象の改築エリアは約160m2。従来の測量(手作業)であれば半日から1日を要する測量でしたが、Matterportを使用したところ、2時間足らずで完了しました。BIM変換のステップでは、Matterport Pro2カメラで取得した点群データをRevitで読み込んだ*あとは、Matterportの3Dウォークスルー(写真画像を合成して繋ぎ合わせた建物空間をバーチャルに歩き回れる機能)を参照しながらモデリングを進めました。たとえば「これは柱」「これは壁」といったように1つずつMatterportの鮮明な写真画像を参照し、具体的なモデリングを進めました。

点群データのみを使って構造図と一致させるには経験やスキルが必要です。

今回私たちは、重要な柱を基準点とし、そこから位置を調整する手法を取りました。この際、Matterportの3Dと構造図を同時に参照したことで効率よく作業できました。社内の反応もBIMにしてよかったという結論です。施工前の状況と施工後のイメージを両方お伝えできたので、お客様からも好評でした。

効果

経験の浅いスタッフも
3Dですぐに理解でき、
精度も高い

BIMを使えば、わかりにくい箇所も簡単に確認できます。Matterportでスキャンしたことで3D画像もありますから、施行方法の検討も容易です。単にモデリングするだけでなく、デジタルツインの活用による付属的メリットは非常に大きいといえます。現場経験が何十年もある熟練の職人であれば、平面図を見るだけで頭の中に3Dを思い浮かべることができます。しかし経験が浅いメンバーはそうではありません。若手社員からはBIMで作成した3DデータやMatterportの3Dウォークスルーがあったおかげで、理解が早まったとの声が聞かれました。

さらに、Matterportの精度には現場メンバーも納得しています。

初めてMatterportを利用する際に、手で計測した“確かな寸法”と、Matterportの計測機能で表示された寸法を比較してもらいました。実際の数値を見せることが、現場スタッフの半信半疑を解消する上で最も効果的だと思います。Matterportを使用しないのは、部屋1室のみなどの非常に小規模な案件くらい。8割以上の現場で使用していますし、現場側から『Matterportで撮って欲しい』といわれます。もはや業務上欠かせないツールになりました。

Matterport活用事例

市立小学校

 

市立小学校の解体工事の際に校舎内をMatterportでスキャンしてデジタルツインにし、それを市へ寄贈したことがあります。解体前に現況写真を撮りたいという要望でした。せっかくですので3Dデータにしようということになり、校舎内をまるごとスキャンしました。この3Dデータは、解体作業時の足場配置の検討や隣接する敷地の小学校に通う児童の動線を確認する目的でも使用しています。取り壊される校舎がデジタルツインになったことで、卒業生の思い出を残すことに貢献できました。Matterportは画像がつながっている点が特に好評です。『在校生だった当時の記憶の通りに移動できた』と喜んでいただけました。

なぜ野原グループを選んだか

Matterport
クラウド契約ができる会社

支店長が展示会へ行った際にMatterportについて知り、社内に共有してくれたのがきっかけでした。 まずは他社でレンタルしてみたところとても使いやすかったんですね。 その後、継続して利用することを考えた際に、Matterportのクラウド契約ができる正規代理店を調べていたら野原グループさんに辿り着きました。

美保テクノス株式会社

創業65年、鳥取県内で売上規模第1位を誇る山陰地方を代表する建設会社。「夢、まち、人づくり」をスローガンに掲げ、地域のまちづくりのリーダーとして、快適で暮らしやすいまちづくりに貢献しています。また、DXや働き方改革など、現代社会で求められる企業経営も積極的に実践。地方ゼネコンとしてはいち早くBIM(Building Information Modeling)を導入した企業でもあり、BIMの使用に関する国際規格ISO 19650認証も取得。社内にBIM戦略部を設置してMatterportによる設計・施工の支援を展開しています。